インドネシアのオンライン事業許認可システム:OSSの基本

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コラム

インドネシアで会社を設立した後、会社は直ちに自由に事業活動を行えるわけではありません。事業を開始するためには、適用される法令に基づき、一定の事業許可を取得する必要があります。これらの事業許可は、インドネシア政府が構築・運営する許認可システム(Online Single Submission(OSS))を通じて取得されます。

本記事では、Online Single Submission(OSS)と呼ばれる事業許可のオンラインシステムについて解説します。OSSの基本的な考え方、仕組み、手続きの流れを整理し、インドネシアで事業を行う際の実務的なイメージを持っていただくことを目的としています。なお、運用や法制度については2026年1月時点でのものであり、変更の可能性があることにご留意ください。

OSSとは

Online Single Submission(OSS) とは、インドネシア政府によって導入された電子(オンライン)ベースの事業許可システムです。インドネシアにおける事業許可手続きを、簡素化・統一化・迅速化することを目的として設けられました。
日本は会社の許認可についてはe-Gov(申請)や各省庁の許認可システムが存在しますが、それらがすべてまとまって一つのオンラインシステムになっているようなものです。

OSSは当初、2018年政府規則第24号に基づいて導入されました。その後、規制改革の進展に伴い制度が見直され、現在は OSS RBA(Online Single Submission – Risk Based Approach) として運用されています。これは、事業活動のリスクの程度に応じて、必要な許可や要件を区分する仕組みです。なお、本記事では理解を容易にするため、「OSS」および「OSS RBA」を総称して OSS と表記します

OSSを理解しないリスクとは


インドネシアで会社が設立された後、現地資本のみの会社であるか、または外国人や外国企業の資本が入った形の会社(一般に PT PMA と呼ばれます)であるかを問わず、事業を開始する前に事業許可を取得する必要があります。

これらの事業許可は、原則としてOSSを通じてオンラインで申請 しなければなりません。OSSを通じて発行された許可がなければ、会社は法的にはインドネシアで事業活動を行うための要件を満たしていない状態となります。そのため、インドネシアで適法かつ継続的に事業を行うためには、OSS制度を正しく理解することが非常に重要です。

OSSを通じて実施可能な手続の種類

OSSシステムが導入される以前は、事業許可の取得手続きは複数の政府機関を通じて個別に行われており、多くの場合、相当な時間と費用を要していました。しかし、OSSの導入により、これらの事業許可手続きは 一つのシステム上で統合的に行うことが可能 となりました。OSSを通じて、事業者は主に以下の手続きについて申請および管理を行うことができます。

  • 事業リスクの区分に応じた許可分類に基づく事業者番号(Nomor Induk Berusaha/NIB)および事業許可(Perizinan Berusaha/PB)の発行
  • 事業開始後に必要となる追加許可の取得(事業拡大、合併、清算などに関する許可)
  • 以下のような基本要件の申請および確認
    ・事業所の立地に関する適合性(KPPR)
    ・環境許可(PL)
    ・建築許可および使用適合証明(PBG/SLF)
  • 政府による監督情報の確認、更新および報告

OSSは、事業許可の取得手続きを一元的に管理するためのシステムです。一方で、すべての許認可手続きがOSS上で完結するわけではありません。許可の内容によっては、税務や出入国管理、通関など、それぞれ所管する別の政府機関において手続きを行う必要があります。以下は、OSSを通じて取得することができない主な許可の例です。

許可分類 所管官庁
税務関連の許認可
  • 会社の納税者番号(NPWP)の登録
  • 会社税アカウントの有効化
  • 個人NPWPの登録
  • 個人税アカウントの有効化
国税総局(DJP Online/税務署)
ビザ・外国人滞在許可
  • 投資家ビザ
  • KITAS/KITAP
  • RPTKA
  • IMTA
  • 滞在資格の変更
出入国管理局、労働省
通関・税関関連の許認可
  • 輸出入事業者登録
  • 通関手続(Customs Clearance)
  • PIB/PEB(輸出入書類)
  • HSコードの決定
  • 貨物の現物検査
  • 関税および輸入税の支払い
関税・物品税総局(DGCE)

OSSとリスクベースアプローチ(OSS-RBA)

リスクベースアプローチ

2021年政令第5号を基盤とし、2025年政令第28号により強化された制度として、OSSではリスクベースアプローチ(Risk Based Approach)が採用されています。この制度では、事業活動が健康や安全、環境などに与える影響の程度に応じて、必要となる事業許可の種類や提出書類が区分されます

以下では、事業許可の判断に用いられるリスク区分について、簡単な説明と具体例を示します。

リスクベースとKBLI

KBLI(Klasifikasi Baku Lapangan Usaha Indonesia)とは、インドネシア政府が事業内容や業種を整理・分類するために用いている数値コードです。現行制度では、2025年時点で、22の主要セクターに分類された1,560のKBLIコードが定められています。

KBLIはOSSと密接に関連しており、選択するKBLIコードによって、事業活動のリスク区分が決定されます。その結果、OSSを通じて取得すべき事業許可の種類も異なります。KBLIは、健康や安全への影響、環境への影響、天然資源の利用状況など、さまざまな要素を踏まえて設定されているため、適切なKBLIコードを選定することは、事業許可手続において非常に重要なステップとなります。

OSSにおける営業許可申請の流れ

ステップ 1

oss.go.id にて、オンラインで OSS アカウントを登録

(インドネシア国籍者は国民身分証番号〈NIK〉、外国籍者はパスポートを使用)

ステップ 2

会社情報および投資計画の詳細を入力

ステップ 3

予定している事業内容に基づき、適切な KBLI コードを選択

ステップ 4

OSSシステムにより、事業者番号(NIB:Nomor Induk Berusaha) が発行される

ステップ 5

事業リスクが中~高リスクに分類される場合、追加の確認要件を満たし、または追加の事業許可を取得

ステップ 6

必要に応じて、追加の事業許可を受領

ステップ 7

事業を開始し、継続的な報告およびコンプライアンス義務を履行(例:LKPM の提出)

外国人や外国企業の資本が入った形の会社(一般に PT PMA と呼ばれます) であっても、低リスク事業に該当する場合には、原則として NIB の発行後、直ちに事業を開始することが可能 です。

注意点とよくあるポイント

KBLIコードの選定

KBLIコードは、NIB(事業者番号)発行の基礎となる非常に重要な情報 です。選択したKBLIコードが実際の事業内容と一致していない場合、事業許可の申請が却下されたり、将来的に問題が生じたりする可能性があります。そのため、事業者は、選択するKBLIコードが、実際に行う予定の事業内容に適合しているかを十分に確認する必要があります。

OSSのアカウントを作成する前であっても、以下の手順によりKBLIコードを事前に確認することができます。

① oss.go.id にアクセスし、画面右上のメニュー(横線2本)を選択

② 「Informasi」→「Memulai Usaha」→「Klasifikasi Baku Lapangan Usaha Indonesia(KBLI)」を選択

③ 検索欄に事業内容を入力
※OSSは現在インドネシア語のみ対応しています。

④ 例:「Kafe(カフェ)」と検索すると、複数のKBLIコードが表示される場合があります。
※各KBLIコードには対象となる事業範囲の説明が記載されています。どのKBLIコードが最も適切か判断が難しい場合には、当社にて事業内容に応じたKBLI分析および選定のサポートが可能です

会社情報の正確性

会社所在地、資本金の金額、事業内容などの情報に入力ミスがあると、事業許可の手続きが滞る原因となります。そのため、申請前に、入力したすべての情報を十分に確認することが重要です。

事業許可(PB)の発行確認

事業リスクが中程度以上に分類される場合、事業許可(PB)は、確認・検証手続きが完了した後に発行 されます。システム上の通知のみをもって申請が承認されたと判断せず、PBが実際に発行されているかを必ず確認する必要があります。

OSS アカウントの有効期限

OSSアカウントは、登録後 30日以内に事業許可の申請が行われない場合、自動的に無効 となります。アカウントが無効化された場合には、改めて登録手続きを行う必要があります。

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上原総合法律事務所では、インドネシアへの事業展開をご検討されている企業様を対象に、各種ご相談を承っております。法規制の整理や事業スキームの検討をはじめ、実務面も含めて、企業様それぞれの状況に応じたご相談が可能です。

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