技能実習生とトラブル

技能実習生に関するトラブルのニュースをご覧になったことがある方も多いかと思います。
技能実習生を受け入れている会社においては、トラブルを生じさせないことが大切です。
この記事では、外国人労働者雇用に詳しい弁護士が、技能実習生に関するトラブルについてご説明します。

1 技能実習生の失踪

技能実習生に関する一番大きな問題は、実習先からの失踪です。

技能実習生が失踪する主な理由は、技能実習生としての期間を超えて日本に滞在して働き、お金を稼ぐためであると考えられます。

技能実習生の多くは、技能実習生になるために、自国で多額の借金をしています。
借金の総額は、場合によっては何百万円という単位になります。
技能実習生は、この借金をするために、家族を保証人にしたり、先祖代々の土地を担保にしたりしています。
そのため、技能実習生は借金から逃げることができません。
この借金は、技能実習により会社から支払われるお金で返済します。

技能実習期間を終えてもお金が十分に得られていない場合、技能実習生は、もっと長く働いてお金を稼ぎたい、と考え、不法残留する強い動機を得ます。

そして、自国に送り返されないように会社から失踪するのです。

多くの場合、技能実習生が失踪するのは、会社に問題があるからではありません。そのため、失踪は、会社にとって最もコントロールしにくい問題です。

この問題を生じさせないためには、そもそも採用の時点で、悪質ブローカーが関わっていないかどうかを確認する必要があり、信頼できる紹介元から紹介された実習生を採用することが大切になります。

2 技能実習生に対する人権侵害・労働法規違反

昨今は、技能実習生の置かれた環境が劣悪であるという報道や、会社において労働法規違反があったという報道がされています。

これらの問題は、会社がコンプライアンスに留意することで防ぐことができるため、対応はしやすいと言えます。

労働法規違反があると、場合によっては外国人労働者を受け入れられなくなることがあるため、注意が必要です。
もしこの問題が存在する場合には、至急専門家に相談することを強くお勧めします。

3 その他のトラブル

外国人労働者を雇用する場合、言語や文化の違いによるコミュニケーション上の問題はどうしても避けられません。
また、技能実習生は寮生活をしているため、病気が蔓延しやすいですし、それぞれが近い関係にあることから、喧嘩も発生しやすい環境にあります。

これらの問題は、大問題に発展する可能性が低いため緊急ではなく、どうしても後回しになりがちな事項です。
しかし、適切な教育と配慮でトラブルを減らすことは、回り回って会社の生産性を高め、会社の価値を高めます。実習生や従業員に教育・配慮をしていくことは、長期的視点ではとても大切な経営課題といえます。

4 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所では、外国人労働者や技能実習生を雇っている企業様からのご相談をお受けしています。
法令違反のおそれがあるという至急案件のご相談だけでなく、労働者の支援をする機関のご紹介や信頼できる外国人労働者の紹介元もご案内できます。
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