技能実習生と特定技能外国人材の違い

上原総合法律事務所では、外国人労働者雇用に関心を持つ方の中から、技能実習と特定技能がどう違うのかという質問をいただくことがあります。

この記事では、外国人労働者雇用に詳しい弁護士が、技能実習と特定技能の違いについてご説明します。

1 技能実習・特定技能とは何か

技能実習とは、外国人に日本の会社で「実習」を受け、日本にある「技能」を覚えてもらう、という制度です。
この制度で実習している外国人の方のことを技能実習生と呼びます。
帰国した技能実習生が、日本で学んだ技術や知識を使って活躍し、自国の発展を担うことが期待されています。

特定技能とは、日本における人手不足解消のために、外国人に日本で働いてもらうための制度です。政府は、この制度を適用する産業を定め、その「特定」の産業における「技能」を持っている外国人が日本で働くことを認めています。

2 技能実習と特定技能の違い1 目的と根拠法令

技能実習は、技能実習生が技能を学び、それを自国の発展に用いてもらうことが目的です。これを技能移転、と言います。
技能実習制度については、いわゆる技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)という特別な法律が制定されています。

これに対し、特定技能は、日本の人手不足解消が目的です。
特定技能制度は、その他の在留資格と同様に、出管法(出入国管理及び難民認定法)という法律において規定されています。

3 技能実習と特定技能の違い2 対象職種

技能実習については、88職種が対象になっています。
これに対し、2024年3月現在、特定技能は、人材確保が特に必要な12分野に限定されています。
なお、昨今における人手不足の影響を受け、政府は、特定技能の対象を拡大する方向で議論しており、近いうちの法改正を期待できる分野もあります。外国人財を受け入れることとすれば人手不足の解消は可能であるため、現時点で特定技能に該当しない事業の方も、特定技能の対象拡大に注目する価値があります。

2024年3月現在で特定技能が適用されている業種

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

4 技能実習と特定技能の違い3 入国時の試験

技能実習生は、技術を学ぶことを目的としているため、特段の技能を要求されていません。そのため、試験もありません。
これに対し、特定技能の場合、人材不足を補うための技能を有している労働者に対して在留資格が認められる制度であるため、技術と日本語双方の能力が求められます。そのため、技能と日本語それぞれの試験に合格しなければ在留資格が認められません。

5 技能実習と特定技能の違い4 入国後の在留資格の変更

技能実習制度は技能移転を目的としていますので、技能実習修了後に帰国することが想定されています。そのため、技能実習修了後に他の在留資格に変更しようとしても、原則として認められません。

なお、例外的に、技能実習2号から特定技能への移行だけは認められています。

これに対し、特定技能については、他の在留資格の要件さえ満たせば、移行が認められます。

6 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所では、外国人を雇用したいという事業者の方、技能実習における監理団体の方、特定技能における登録支援機関の方、登録支援機関を作りたい方、不法就労させてしまっているがどうしたら良いかわからない方など、外国人労働者雇用におけるあらゆる疑問やお悩み事等について、ご相談をお受けてしています。
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